■都市のコード論:NYC編  vol.06
テーマ:HOTEL
レポート
2018.03.08
カルチャー|CULTURE

■都市のコード論:NYC編 vol.06
テーマ:HOTEL

在NYC17年の日本人ビジネスコンサルタント、Yoshiさんによるまち・ひと・ものとビジネスの考察を「都市のコード論:NYC編」と題し、不定期連載しています。

1年半ぶりの起稿。テーマは“HOTELと都市“です。日本でも異業種からの参入が増え、新しい展開をみせていますが、NYでは? データとともに解析します。


ニューヨーク市内で新しいホテルのオープンが相次いでいる。


2015年時点で市内には696件のホテル (107,000室) が営業していたとされているが、その後新規オープンが続き、2017年10月時点では、ホテル数はおよそ785件、 部屋数は115,000室に達したと考えられている。

ニューヨーク市のマーケティングを担うニューヨーク・シティ・アンド・カンパニーが2017年に発表したレポートによると、2017年末から2019年までに、おおよそ40-50件の新しいホテルのオープンがさらに予定されていて、27,000室が追加されることになり、その結果2019年末には900件近くのホテルが市内に存在することになる。

新しいホテルの業態はさまざまで、部屋数をみても14室のみの小規模なものから600室を超える大型のものまでそのバラエティは幅広く、ターゲットとする市場のセグメントもさまざまだ。とはいうものの、そこには共通する傾向もあり、そして新しい試みも散見される。

ということで、今回はNYマンハッタンのホテルの変化についてデータとともに解析してみることにした。



2015年以降オープンした (そして今後予定されている) ホテルの数を、ボロウ (区) ごとにみてみよう。

ニューヨーク市の中心であるマンハッタンでは、1年に20−30件のホテルが継続してオープンしていることがわかる。少し前に話題になったブルックリンも毎年5-10件ほどオープンしているもののすでにピークアウトしている。

一方、クイーンズでは2017年と2018年にそれぞれ10件前後、2019年には15件のホテルのオープンが予定されており、そのペースはブルックリンを上回っている。


NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ

ボロウ別でなにより注目すべきことは、2017年からブロンクスにもホテルがオープンしていることだ

1980年代の犯罪のイメージから観光とは縁遠かったブロンクスが、いよいよ市内のホテル戦線に参入したことになる。確かに地下鉄に乗ればブロンクスからマンハッタンの中心部まで30分ほどで着くことができるし、近年はブロンクスの南端に位置するサウス・ブロンクスの開発も進んでいて、2017年に市内で家賃の大きな上昇率を示した地区の上位はブロンクスが占めていると報告されている。

ビジネスやエンターテイメントが圧倒的にマンハッタンに集中していた状態から、近年その重心は少しずつ隣接する他のボロウへと分散傾向にある。ブルックリンからクイーンズ、さらにはブロンクスへと、オープンするホテルのロケーションの移動は、人々の注目の移り変わりをも反映しているといえる。

ホテルの新規オープン (2015-2019年)を、マップにしたのが下のリンクである。
バブルの大きさはそれぞれのホテルの部屋数を示し、それぞれのホテル名と部屋数をインタラクティヴにみることができる。

fafsp.carto.com/viz/4a4b3f4f-2011-4e7f-8e51-46956fcf2581/public_map


NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
2017年11月に東京は錦糸町、大阪は本町にオープンしたマリオット・インターナショナルが20〜30代のミレニアル世代を対象とした家具や内装にこだわったデザイナーズホテルブランド「モクシー・ホテル」。ウエブサイトもポップで従来のホテルのイメージとは異なる。

マンハッタンをみてみると、伝統的に観光客とホテルが多いミッドタウンにひき続き新しいホテルが多くオープンしていることがわかる。

たとえば、マリオットが手がける、612室のモキシーNYCタイムズ・スクエア (http://moxy-hotels.marriott.com/en) が2017年にオープンした。

やはりミッドタウンのハドソン川近く、ハイラインの北端に位置するハドソン・ヤーズでは大規模な開発が進んでいる。最新のインフラを備えた大型オフィス・スペースが建設中で、完成と共に多くの企業がミッドタウンからハドソン・ヤーズへと移転することが予想されている。企業が移転する先にホテルができるのは当然なのだろう。ハドソン・ヤーズの隣には巨大なコンヴェンション・センターであるジャヴィッツ・センターもある。部屋数の多い大型ホテルが多いのもミッドタウンの特徴といえる。

マンハッタンの南端に近いファイナンシャル・ディストリクト (旧金融街) からバッテリー・パークにかけても新しいホテルが増えている。グラウンド・ゼロ1ワールド・トレード・センターが完成したことで、コンデナストやデイリー・ニュースなど、多くのメデイア企業がタイムズ・スクエアからダウンタウンへと移転している。そうしたビジネス向けの需要はもちろんのこと、ロウワー・マンハッタンはかつての金融街から比較的若年層の人たちが住む地区へと急速に変化している。伝統的な観光地のミッドタウンを敬遠してロウワー・マンハッタンに宿泊することを選ぶ観光客も増えているということなのだろう。


 
NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
ハドソンヤードの開発のようす(2018年1月撮影)


ブルックリン
はというと、ダウンタウンウィリアムズバーグからグリーンポイントにかけて、そしてクイーンズではロング・アイランド・シティのほかにジャマイカでもホテルがオープンしている。

ロング・アイランド・シティは、マンハッタンのミッドタウンまでイースト・リバーを超えてすぐの場所にあり、マンハッタンよりも手頃な宿泊料金に設定されている。さらには部屋から川の向こうにマンハッタンの眺めを楽しむことができる。マンハッタンに滞在していたら目にすることができない贅沢だ。JFK空港行きのエアトレインが発着するジャマイカは、空港と市街地との両方へのアクセスの良さからホテルができているようだ。

ホテル数が急速に増えていることから、ニューヨークのホテル需給は緩和すると予想されている。激化する競争に生き残るためのカギは、差別化にあるようだ。

ニューヨーク市シティ・プランニングのレポート
によると、市内のホテルの部屋数のおよそ38%は独立系のホテルだという。チェルシーにあるハイライン・ホテル (http://thehighlinehotel.com/)、ミッドタウンのルーズヴェルト・ホテ (http://www.theroosevelthotel.com/)ロジャー・スミ (https://www.rogersmith.com)、ブルックリンのウィリアムズバーグのウィリアム・ヴェイル (https://www.thewilliamvale.com/) などが独立系に相当する。

これらのホテルは全国展開する大手ブランドとは提携していない。戦略的な選択だ。

NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ


市内に43,600室あるとされる独立系ホテルの部屋のうち、49%は広義のハイエンドに属し、エコノミーのセグメントに相当する部屋数はその28%にすぎない。独立系のホテルがハイエンドをターゲットとしていて、独立系
であること (大手ブランドの一部ではないこと) を高付加価値化に利用していることがわかる。実際に、大手を避けて、独立系のホテルでの宿泊を選ぶ人は増えている。


独立系のホテルは、マンハッタンではダウンタウンブルックリンの一部クイーンズのロング・アイランド・シティなどでオープンしている。典型的な観光地ではない場所の選定がその価値の欠かせない一部であり、ハイエンドのイメージとロケーションが分かちがたく結びついていることがわかる。ロケーションはそのブランドの一部といってもいい。

NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
トリップ・アドバイザーが買収した現地ツアーの予約ができるプラットフォーム「ヴィアター(www.viator.com)」。

興味深いのは、大手ブランドもニューヨークでは独立系のアプローチを模索していることだ。

テキサスを拠点とするあるデベロッパーは、通常マリオットやヒルトンと提携してホテルを展開するものの、ニューヨーク市内では大手ブランドと提携せずに運営している。

なかには大手ブランドの傘下であることを隠して、独立系にみせて運営する覆面独立系ホテルもあるという。そのため、市内のホテルを独立系と非独立系にホテルに分けることは容易ではない。少なくともニューヨークに関する限り、ハイエンド市場は、独立系としての独自性を提供することが条件となっているようだ。

同時にヒルトンマリオットも、別名を用いたソフト・ブランドのホテルをオープンし、より小規模で、標準化されていない部屋を提供しようとしている。

日本でも2018年の春に軽井沢にオープンする予定のキュリオ・コレクション・バイ・ヒルトン
(http://curiocollection3.hilton.com/en/index.html) や、タイムズ・スクエアとミッドタウンの2カ所にあるマリオットのオートグラフ・コレクション (https://autograph-hotels.marriott.com/) などがその例であり、既存のブランドとは距離を置く位置づけになっている。

ソフト・ブランドはブティック・ホテルとして運営しつつ、同時に大手ブランドの一部として、予約やリウォードのシステムにアクセスできる利点もある。

 
NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
2017年、マンハッタン31丁目にオープンしたライフ・ホテルは、かつて雑誌『ライフ・マガジン』の本社だった建物を改修したものだ。

ホスピタリティのビジネスにもテクノロジーとデータは欠かせない。
ニューヨークのホテルでは、自分でチェックインを済ませるところが増えているiPadに接続された端末を利用してチェックインする。わからなければ、必要に応じてスタッフが助けてくれる。テクノロジーの利用でコストを抑えるホテルは多い。


ホテル各社はゲストに関する大量の情報を有している。そのデータをもとに、それぞれのゲストにどんなサービスを提案するのかがビジネスを左右することから、ホテル・テクノロジーのスタートアップ企業の買収も活発になっている。

現地ツアーを予約するサイトのヴィアター (https://www.viator.com) を買収したことで、ホテルやレストランの予約サービスを提供するトリップ・アドバイザー (https://www.tripadvisor.com/) では、ホテル以外の売上が31%増加した。マリオットは、データに基づいて、それぞれのゲストが気に入りそうな体験を個別に提案している。


ローカルな体験を提案するホテルは多い。マリオットが最近買収したアロフト・ホテル (https://aloft-hotels.starwoodhotels.com/) は、ローカルのアーチストによる音楽の演奏をスポンサーしている。ホステル感覚のブティック・ホテルを謳うモキシーは、部屋は狭くそれ自体がニューヨークの経験だという。

こうした動向の背景には、ホテルの競合はairbnbだという認識がある。airbnbがマーケットする、これまでのような観光客ではないローカルとしての体験をとりこむべく、宿泊に付随するローカル性をホテルが重視し始めていることが、現地ツアーやアクティビティの予約サイトの買収を後押ししている。ホテル周りのビジネスをいかにして取り込むのかは、これからも大きな課題だ。

NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
アーチ状の構造を多く手がけた建築家、エーロ・サーリネンによって1962年にTWA航空のターミナル4をホテルに改修したTWAホテル。
NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
TWAホテルのHPより。独特のレトロモダンな内装はある層にとっては宿泊することが目的となりそう。


新しいホテルを見て回ることで気づくことのひとつは、かつてのように、入口を入ると目の前に巨大なレセプションが広がっているという光景を目にすることはないということだ。ハイエンドのホテルにその傾向が強く、大きなデスクの背後に何人ものスタッフが立って待ち構えているという光景は過去のものになりつつある。

自分でチェックインするためのiPadが並んでいる以外には、入口のフロアにはソファが並ぶくつろぐ場所があったり、レストランがあったりする。2017年にマンハッタンの31丁目にオープンしたライフ・ホテル (https://lifehotel.com/
) のように、入口を入ってもどこにレセプションがあるのかすぐにはわからない、むしろレセプションをできるだけ見せないようしているようにさえ思えるところもある。

ライフ・ホテルはかつての雑誌の『ライフ・マガジン』本社だった建物をホテルに改修している。商品をマーケットする際に、それにまつわる物語を付加する物語マーケティングが一般化しつつあるが、ライフ・ホテルは既にそこにあるライフ・マガジンのレガシーの周りにホテルというビジネスを構築したのが興味深いところだ。

他の場所で再現不可能なプロジェクトには、他にはない固有性がある。オーセンティックなトーンを前面に出している内装にもそれは見てとれる。新しいコンセプトやデザインを考えたところで、ひとたび注目されたらそれはすぐに模倣され、あっという間に世界中でコピーされる。模倣されることを避けるためには、他にないユニークな場所を開発するしかないということなのかもしれない。

他にはないホテルといえば、JFK空港内で工事が進んでいるTWAホテル (https://www.twahotel.com) は、かつてのTWA航空のターミナル4をホテルに改修するものだ。 エーロ・サーリネンの手によって1962年にオープンしたターミナルで、トランス・ワールド航空 (TWA) はもちろんもう存在しないが、
その歴史とアイコニックなターミナルを利用したホテルとして復活する。
 
NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
1980年代にブティック・ホテルのコンセプトを導入したイアン・シュレージャーが手がけるPUBLIC HOTEL。冒頭のソファーの部屋の写真もここ。日本だと結婚式の会場としてのニーズは必須だが、NYの場合はアートイベントや音楽イベントが開催できるようなスペースを設けるところが多いよう。(https://www.publichotels.com/)
NY,NYC,New York,ニューヨーク, ひと, 都市, コード, 都市論, コード論, 自転車, 主役, 街, イノベーション, 開発, 都市回帰, マンハッタン,ブルックリン, シェア, Yoshi, fashion,NYFW,ニューヨーク,ファッションウィーク,コレクション,NYコレクション,ファッションショー,ランウェイショー,ベニュー,テント,アイコン,ショー,会場,パーク,自由,ビジネス,ホテル,デザイナーズホテル,ブティックホテル,マリオット,hilton,ヒルトン,モクシー,ブロンクス,錦糸町,TWA,ハワード,Howard,hudsonyards,ハドソンヤード,セルフチェックイン,ネイバーフッド,Neighborhodd,ネイバーズ,ボロう,浅草,渋谷,ハイエンド,ブティック,ブロンクス,データ,コンサルティング,リサーチ
日本における近年のデザインホテル、ブティックホテルのトレンドは、2012年にブルックリンに暮らす3人のオーナーの手によって開業したこのWHYTHE HOTELが有名だ。1901年に建てられた、精糖所に納める木樽を製造する工場をリノベートしたインダストリアルな意匠は、その後の日本における“ブルックリン・ブーム”や“ポートランド・ブーム”を後押ししたが、そういった表面的なことに留まらず、小資本(インディペンデント)であることをはじめ、レストランのメニュー、バー、パブリックスペース、ジムなど、従来の都市のホテルユーザーとは異なる“新しいラグジュアリー”なライフスタイルを提案していた点こそが新しい(写真は2013年8月に撮影したもの)。
 
ホテル・ビジネスの競争の中心は、部屋よりも宿泊の周辺へと移動している。

昨今の宿泊客の半分はレストランでホテルを選ぶというデータもある。ライフ・ホテルのロビーはレストランをフィーチャーしていて、近所の人たちが立ち寄るような場所を目指しているという。同レストランは、レストラン起業家のステファン・ハンソンが所有・経営している。

ホテルの中のレストランの多くは第三者の業者が経営し、ホテルとのシナジーが欠けていることが多い。ライフ・ホテルではハンソン自身が同ホテルに投資をしており、レストランの売上の一定の率を家賃としてホテルに払う仕組みになっている。

一般的に、レストランをオープンした後、その周辺が人気の地区になったら、家賃が上がり今度は追い出されることになりかねない。不動産価格の高騰に終わりの見えないニューヨークでは頻繁に耳にする話だ。ビジネス面での新しい取り組みは、その防止策でもある。

2017年にロウワー・イースト・サイドにオープンしたパブリック (https://www.publichotels.com/) は、1980年代にブティック・ホテルのコンセプトを導入したイアン・シュレージャーが手がけるホテルだ。

その名が示す通り、誰もが立ち寄ることができるように、コワーキング・スペースパブリックの場所があり、仕事をしたり、打ち合わせをしたりしている人たちが多い。上層階にはフード・ホールバーがあり、地下にはコンサート・ホールもある。エンターテイメントは利益が出せるものの、ホテル産業にノウハウがない部分でもある。その開発の意図がある。

こうしてみると、新しいホテルにはいくつかの傾向がある。宿泊周りの体験をとりこむこと。他にない固有性を求めるところもある。そしてテクノロジーとデータがホテル産業の未来に欠かせないコアであることも間違いのだろう。

[取材・データ/文:Yoshi(在NY・コンサルタント)]

 

Follow the accident. Fear set plan. (写真をクリックしてください)

カラー・フリッピング
[]

カラー・フリッピング

身体を使って働く人はオフィスで働く人とは物の考え方が違うのだという。 10年ほど前だったか、ニューヨークやカリフォルニアの大都市に住むプロフェッショナルと対比して、内陸部に暮らす労働者たちを生産性に欠ける怠け者だとする当時の風潮に逆行したその主張はひときわ際立っていた。 そもそも誰もがオフィス職を望んでいるわけではないのに、それが成功や幸福の同義だと思いこんでいることが、なにより世間知らずのエリート思考なのだという指摘に感心させられたものだ。 今になってみると、それは早すぎる予言めいてもいた。米国英国ではオフィス職よりも手工職を指向する若い人たちが増えていて、メディアは早速ホワイト・カラーからブルー・カラーへの「カラー・フリッピング」だと伝えているが、まずはホワイト・カラーとはなになのか、そこから始める必要がある。 チャールズ・ライト・ミルズによる「ホワイト・カラー」は、その表題が示す通り、ホワイト・カラーのスタディである。 戦後期に至る米国の職場をもとにした1951年の著書は、今となっては百年近く前の観察になるものの、色褪せるどころか、その洞察はいよいよ説得力を増しているように思われる。19世紀の名残りが視界から退きつつ、そこに入れ替わるようにして新種の労働階級が台頭していたことが、この社会学者の関心をひいたのかもしれない。 ライト・ミルズによると、ホワイト・カラーとは、自らが生産することはなく、その代わりにマネーや人、そして書類を扱う人たちのことである。今日ならそこに数字やパワーポイントなどが含まれることになるだろう。生産そのものには関わらず、生産者の組織化、その人間関係の調整、生産物が消費者の手に渡るまでの過程に携わる人たちがホワイト・カラーである。 資本の集中とともに大企業化が進んでいたことが背景にあった。19世紀には大方の人が自営業者だったが、20世紀にその数は大きく減り、特に大都市では、より多くの人たちがより少数の大企業に勤めるようになっていた。専門職についても、たとえば医者や弁護士は、以前は個人事務所や医院を構える自由業者だったものだが、大事務所や病院の従業員として働くようになっていた。 大企業のホワイト・カラー職の手順や範囲は予め決められていて、定められた通りにやっていくことが求められる。19世紀の職人や小企業家たちが、仕事の規模から料金の設定まで、自分の働き方や条件を自ら決めたのとは対照的である。 専門化と規格化が進んだ大企業では、一従業員に事業全体を見渡すことはできない。そればかりか自分でなんとかしようとしたりする「19世紀的な企業家根性」はかえって組織を非効率にするのである。自主性はわずかな上層部に集中し、それより下では自主的な判断は必要とされず、個人としての自由と知性は剥奪されるが、まさにそのことによって組織全体は合理化されるのである。 19世紀の企業家群を「貪欲で侵略的な生き物」と評したメルヴィルの一節を引いて、20世紀には個人としては貪欲でも侵略的でもないが、貪欲かつ侵略的な組織に動かされるホワイト・カラーが現れたとライト・ミルズは記している。そこに無数の小企業が割拠した19世紀のより自由主義的・自由市場的だった経済のありようを垣間見ることも不可能ではない。 ライト・ミルズの観察は多岐にわたるもので、すべてをここで網羅することはとてもできないが、そこに通底しているのは、ホワイト・カラーが生活と仕事の分離をもたらしたことである。農業は言うまでもなく、パン職人や食料品店の店主、あるいは床屋のようなビジネスであっても、小企業家にとっては、多かれ少なかれ働くことはすなわち生活であり、仕事と生活が分かちがたく結びついていた。それはまさに生業だった。 しかし生産から切り離されたホワイト・カラーは、仕事と生活の間に関係をとり結ぶことが難しい。そもそも他人の会社のために働く雇われの身である。間接的にではあるが、仕事を生活に結びつけるものがあるとしたら収入である。彼らにとって仕事とは何より収入源のことである。 働くことが目的ではなく手段であるなら、その実際の仕事の充足よりも、収入で手に入れる娯楽の方に楽しみを見出すのは当然である。仕事は我慢するものと割り切り、それが買うことのできる消費と娯楽の大きさによって仕事の良し悪しを判断する。会社名や肩書きなどの所属に付随する権力と地位への捩れた愛着も、冒頭で引いた者の言い方を借りれば「履歴書のために生きる」のも、それと同じことである。 かつての小企業家たちは資産よりも生活における自らの決定権を求めたものだがと首をひねりつつ、それを喜々として手放して、収入のために屈託なく働くホワイト・カラーを「陽気なロボット」とライト・ミルズは評した。 ホワイト・カラーが働くことを生活から分離したとしたら、働くことを消費に直結したのはヤッピーである。 1970年代が終わりにさしかかる頃、大学を出た若い人たちがニューヨークなどの大都市に向かい始めていた。多くの企業がニューヨークを離れ、市内の製造業の仕事が徐々に姿を消し、人口を大きく失った1970年代が終わろうとする時期のことである。 死んだと思われた大都市に、高学歴の若者が郊外から戻り始めた。その中心的役割を果たした人たちを「ヤッピー」として初めて雑誌がとりあげたのは1980年のことだった。若いプロフェッショナルの流入と大都市の再生が結びつけられて語られたことは、その20-30年後に大都市を席巻することになるジェントリフィケーションを予告するようでもあった。 今日では死語といっていいヤッピーはyoung urban professionalsから派生した呼称として、特定の職種や働き方を指すものというより、その関心はもっぱらライフスタイルに集まった。アルマーニを着て飲み物はペリエ。生活をブランド物で固めて大都市で暮らす若い特定層を新種のトライブとして提示したことは、ホワイト・カラーのイメージに少なくない影響を与えたようだ。 キャリア、成功、マネーを追いかける上昇志向の法律家や投資界の者などホワイト・カラーの若き野心家たちは、金銭と物質的豊かさを謳歌し、その優越性を躊躇せず誇示した 。「強欲は善である」。誰かを指して「ヤッピー」というとき、そこに少なからず侮蔑の含みがあることは誰もが知るところである。そうしたヤッピーたちの奔放さは貪欲で侵略的であったかもしれないが、19世紀の小企業家のように、自分の生き方を自分で決める裁量はなく、もはや働くことと生活の関係が問われることはなくなっていた。 コスモポリタンな洗練性を主張したヤッピーだが、それは外国風のものにとびつくことを意味した。米国民のフィットネス熱に火を点けたのもヤッピーだった。社会学者よりもメディアが目をつけたのは当然である。当時のニューヨークのポピュラー文化に登場したのがドナルド・トランプだった。ただの大卒ではなく、修士号や博士号などの上級学位—なかでもMBA—が所得と密接に結びついたのもこの時期である。 文化現象というべきヤッピーだったが、当時の経済にぴったりと符合していた。1980年代はサーヴィス産業の隆盛期にあたり、製造業はニューヨークを離れたものの、代わりに広告、通信、出版などの産業が集中した。もうひとつの先導役はグローバル化である。多国籍企業が次の新たなモデルとして注目され、企業の生産が国際化することで、その複雑化する活動を管理調整することが必要になった。それを専門に請負う金融サーヴィス、会計、コンサルティングなどを総称する「生産者サーヴィス」が急速に成長していた。 主従が入れ替わるようにして、生産を支援するビジネスの周りに経済と大都市が再編成されようとしていた時期である。生産者サーヴィス企業が集中するニューヨークやロンドンのような世界でも少数の大都市は「グローバル都市」として注目を集め、都市モデルの合言葉として一時代を画すことになった。ニューヨークは常に金融の街ではあったが、ウォール街がニューヨーク経済の中心に深く埋め込まれたのはこの時期である。 破綻寸前だった市にとっては救いの手である。個人所得税が税収における重要度を増したことで、市の政策はいかにして豊かな者を喜ばせ、そして集めるのかへと向かうことになる。ここ20年でも「アメニティ」、「クリエイティヴ」、「イノベーション」がもてはやされては忘れられたが、聞こえのいい言葉の向こうにある考えはどれも同じではなかったか。 もうひとつつけ加えると、ヤッピーが従来の枠組みには収まりきらない政治観をもっていたことがあらためて指摘されている。彼らは中絶や同性愛には賛同し熱心に支持したが、セイフティ・ネットなど社会福祉には反対で、連邦政府の支出削減を支持した。簡単にいえば、前者についてはリベラル、後者については保守的ということになる。そこにマイノリティや低所得者層を中心としたリベラルの民主党が、ウォール街やプロフェッショナル階級を支持基盤とする文化リベラルに宗旨替えした契機をみることもできるし、新自由主義の入口をみることも可能だろう。初のヤッピー大統領となるビル・クリントンが選出されたのは1992年のことである。 ヤッピーの語源にはもうひとつの説がある。young upwardly-mobile professionalsの略だというもので、社会の階段を上る若きプロフェッショナルのことである。ただ、その呼称は今日の若いホワイト・カラーの現実を伝えるには相応しいものとはいえなくなった。 近年の若い人たちは多くが大学を出ても定職に就くことができずにいて、修士号を取得したのちに学んだこととは何の関係もない幾つもの雑多なバイトをかけもちしたり、米国では健康保険が雇用と結びついているために、保険目的で全く関心もなければ嫌悪さえしている仕事に仕方なく就き、そうして得た収入が手に追えない高騰を続ける家賃や「一杯9ドルのコーヒー」に消えていくのが、大都市に住む今日の若い高学歴者の実情である。 たしかに不遇の若年層だが、面白いなと思っているのは、もはや企業で働くよりも、自分で商売をする方がリスクが少ないと考える人たちが出てきていることである。大企業に入社したところで解雇は運と時間の問題。いざ職を得てもマウスやキーボードの動きのひとつひとつが監視されかねない職場で、何のためになるのかわからない仕事に鬱屈した日々を過ごすくらいなら、自営の方が良い、少なくとも自衛策として良くはないかとの考えらしい。 実のところ、ホワイト・カラー職を辞めて飲食業を始めるのはよく聞くことである。息子が大学をやめて見習いシェフに転身したと知己の弁護士にどこか嬉しそうに言われたことがあった。飲食業は実入りが大きいことで知られる商売ではない。それでもあらゆることについて自分で判断できるし、そうすることを求められる。たいていは無給で始めて大変な労力を要するが、苦労に値するという人が多い。なにより事業主であり生産者である。コーヒーショップを始める人が少なくないが、それは働くことと生活を再び結びつけようとしているようにも思えるのである。 今日の高学歴者は、ときに高給職や社会の階段を上ることをそもそも求めていないようにさえみえる。いわゆるX世代 (概ね1965年から1970年代生まれ) は新自由主義に心身を投じて梯子を外されたのだという人があった。大都市は生産性信者の巣窟になろうとしていて、信じられるのはマネーと自分の能力だけの個人主義。デモや運動などバカのやること、そんな閑があるなら目の前の経済活動に専心せよとの教えを抜け出せない前世代をよそめに、今の世代はコレクティヴな行動へと向かっている。 小売企業や教育機関をはじめとする多くの職場で、従業員が雇用主の慣行や諸権利の改善を求めてストライキを行ったり、組合化を求める運動が広がっているが、その組織化を先導しているのは大学を出た若い人たちである。それこそ「カラー・フリッピング」とでもいうように、かつてブルー・カラーの領域と考えられていたことを若いホワイト・カラーとその予備軍が率先している。あきらかに彼らにとって、仕事はただの収入源ではなく、雇用主にそれ以上のものを求め、それ以外のことを主張している。 また別の例として、音楽ストリーミングのサーヴィスをやめる人たちが増えていることを考えてみてもいい。音楽好きの人たちを中心に、企業の都合やアルゴリズムで音楽を与えられることを拒み、自分の直感で気に入る音楽を見つけて、レコードやカセットをオフラインで聞く人たちが少しずつ増えている。 ストリーミング企業のビジネスモデルや疑わしい資本関係を指摘する声もあるが、それよりも音楽を楽しむことを自分の手中におさめて、より意図的に音楽を深く聴こうとする試みといえる。無自覚にぼんやりとサーヴィスを使い続け、自分の好みや音楽体験を企業に外注していることを恥ずかしく思うという考えには、前のめりの正義感や暑苦しいイデオロギーよりも、奥行きを失った「コンテンツ」を自分の意志で断ち、自分の納得のできるやり方でその音楽をつくったアーチストと関わり合う必然的な方法にみえる。それをレトロやノスタルジーというのは見当違いである。 もちろん誰もがそうしているわけではない。世の中の大半の人は便利で安価なストリーミングを利用し続けるだろう。大テクノロジー企業のプロダクトを喜んで買い、大企業に勤めたい人はたくさんいるはずである。しかし、こうした志向性の最前線が大都市に住む若いホワイト・カラーとその予備軍であることに、新たな兆しを見ることもできるかもしれない。米国の大都市に現れ始めている社会主義を主張する市長たちを最も熱心に支持するのはこうした層である。VCが投資しないことにも価値はあり、金儲けやキャリアにならないことにも賛辞を送り称えようという人が大都市の市長に選出されるのをみると、生産と生活の結びつきを再考しようとする人たちは意外と少なくないようである。 もうひとつ興味深いのは、近年ビジネス界で、MBAをCEOにするなという声を聞くようになったこと。エンジニアやデザイナーなど、その事業に欠かせない経歴を欠くCEOを外部から就任させる企業が増えていることへの警告である。 2024年にナイキは業績の低迷によるCEOの交替を発表した。コンサルティング会社のベインからeBayを経て就任したCEOに対しては、社内外からスニーカーを知らないCEOという指摘があったようだ。そのためかどうか明らかではないが、後任に任命された新CEOは、ナイキでインターンから始めて、長年勤務を続けたのちにマネジメントの一人になった生え抜きである。 スニーカーを知らなくても数字や経営手法を知っていればいいということなのかもしれないが、数字型CEOの困ったことのひとつは、目先の数字が改善することなのだという。しかし事業の機微や生産を知らないCEOは長期的なヴィジョンを欠き、リスクを避けて開発を怠りがちで、いずれ活力を損なうことになるという。 アプリケーションを開発する企業のマネジメントにそのプロダクトを自分では全く利用しない人が就いていたり、ジャーナリズムを知らず自社記事を読まない人がメディアのマネジメントをしているといった話は少なくないらしい。地下鉄やバスを利用しない人が公共交通機関の方針を決めるようなものである。業績が低迷しているスターバックスで働くあるバリスタが、ビジネスの状態を誰よりも知る顧客とバリスタがいる店舗を訪れることはせず、スプレッドシートを相手に打ち合わせのバブルに暮らすマネジメントに苦言にも似た言葉を残していたことが印象的だった。傍目にはバリスタの方が自分事としてビジネスを真剣に考えているように思えてくる。 もっともそれは特定のCEOの問題ではないのだろう。それは百年近く前から指摘されていたことである。官僚制組織である大企業に不可避の帰結であり、生産から遠く離れたホワイト・カラー思考が辿り着く必然的な到達点のように思える。 (おわり)

yoshiさん


同じタグの記事
同じキーワードの記事
2026_0113~ ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録 アマゾンで購入 楽天ブックスで購入